「なぜ」の使い方を間違えないようにする

「なぜ」という言葉をコミュニケーションで使う時には十分な注意が必要です。

「なぜ?」という言葉は影響力が強い言葉だと思います。
それだけに、使い方によってはコミュニケーションは良くも悪くもなります。

たとえば、問題解決のプロセスで「なぜ」はよく使われます。

ご存知の方も多いと思いますが、
問題を掘り下げる時には、なぜ?を3回繰り返しましょう。」
です。「その問題はなぜ起こる?」と繰り返し問いかけることで、より深いレベルでの解決策を考える方法です。

余談ですが、トヨタ式5W1H思考という本を読んだことがあります。
トヨタ式5W1Hとは何かと思いきや、Why、Why、Why、Why、Why、Howの事でした。
つまり、「なぜ」を5回繰り返して掘り下げてから、初めて解決方法(How)を考えるという内容でした。たしかにトヨタは「なぜ」で有名でしたね。

さて、本題に戻ります。

気をつけないといけないのは、会話の中での「なぜ」の使い方です。
ケースごとに考えてみます。

まず、純粋な疑問を持ったときです。

1. 「なぜ、そうなるの?」

もちろん言い方にも左右されますが、「柔らかい」印象を受けます。子供が純粋に理由を知りたくて「なぜ、おひさまはのぼるの?」と親御さんに質問している感じです。
ところが

2. 「なぜ、そうなってしまうの?」

となると、かなり印象が変わってきます。
どちらかというと非難めいたニュアンスが出てきますね。

「(本当はそうなるはずではないのに)、なぜそうなってしまうの?」という意図が見えます。

そして、言葉尻を変えるともっと強烈な印象になります

3. 「なんで、そうなってしまうんだ!」

あえて、文字ではクエスチョンマークをビックリマークに変えました。

2と3の違いは文字というより言い方ですね。疑問文の形をしていますが、ほとんど叱責です。

さらにエスカレーションすると

4. 「なぜ、できないんだ!」

になります。

「なぜ」の後に否定形をもってくると、マイナスのインパクトは最高潮に達します。

「なぜ」の持つ疑問の意味合いは全く消え失せています。そして、「できる」ことが大前提の上での、全否定となっています。

会社のマネージャーやリーダーの方は、もしかすると最後の2つはギクッとしている人がいるかもしれません。

言ってしまいがちですよね。いや、もしかするとあえてそう言っているかもしれません。

少なくとも、無意識で言ってしまったいるなら気をつけましょう。さもないと、悪影響がでる可能性が高いです。

では、どう気をつけましょうか?

言い方の雰囲気に気を付ける

雰囲気というか聞き手の意識の問題です。

2の言い方では、本当に理由を知りたいという意識で発言するといいです。責める気持ちがなければ、意識すれば相手に伝わります。

なぜを使わない


3や4のケースでは、言い方を変えましょう。

実際問題として「指導」をするときですね。その場合はもう「なぜ」を使うのはやめましょう。

例えば、

  • 「何が原因で、そうなってしまったのだと考えますか?」
  • 「うまく行くのを妨げたものは何だろう?」

このように言いましょう。

「なぜ」を使うと、話の矛先が相手に直接向いてしまいます。

でも言い方を変えると、矛先は人ではなく原因にとりあえず向きます。

最初から話し手が「なぜ」という言葉で、相手自身が原因と決めつけないことが重要です。

原因をちゃんと掘り下げていくと、相手自身に要因があった場合は、必ず自分で気がつきます。

そのタイミングで、まず相手自身から話が出るようにすべきです。
そうすれば、結果的に指導になったとしても、相手の納得度は違います。

このように、「なぜ」は良いツールにもなりますし、怖い武器にもなります。

自分が、相手とどのようなコミュニケーションをしたいのかを意識して、正しい「なぜ」の使い方をしたいですね。