ビジネスシーンでよく聞く「遠慮」と「配慮」。どちらも日常でよく使う言葉ですが、その違いをしっかり理解している人は意外と少ないかもしれません。
実は、この二つの言葉をちゃんと区別することで、あなたのコミュニケーションがぐっと変わるんです。
「遠慮」と「配慮」はどちらも「慮(おもんぱか)る」という字が使われています。この「慮」という字は、用心や考えを巡らせるという事を意味していますが、ポイントは「誰を」おもんぱかっているかです。
遠慮ってなに?
まずは「遠慮」について考えてみましょう。遠慮とは、ざっくり言うと「自分が悪い状況にならないように、自分の行動を抑えること」を指します。自分をおもんぱかってますよね。
たとえば、上司から「今日は早く帰ってもいいよ」と言われたとき。実際には早く帰りたいけど、「自分が他の同僚に悪い印象を与えるかも」と思って残業を続ける、そんな経験はありませんか?これがまさに遠慮です。自分が周りからどう見られるかを気にしての行動です。
配慮ってなに?
次に「配慮」です。配慮は、相手の立場や気持ちを考えて行動すること。つまり、相手をおもんぱかって行動を決めることです。
たとえば、同僚が忙しそうにしているときに「助けが必要かな?」と思うことがありますよね。でも、その同僚が自分のペースで仕事をしたいタイプだと知っているなら、あえて声をかけずに見守ることもあります。これが配慮です。相手がどう感じるかを第一に考えた結果の行動ですね。
遠慮と配慮の違いって?
遠慮と配慮の違いは、誰を中心に考えているか、です。同じように黙っている行動でも、その理由が「自分を守るため」なら遠慮、「相手を気遣っている」なら配慮になります。
たとえば、会議で「今意見を言うと、上司に嫌われるかもしれない」と考えて黙っているのは遠慮。一方、「今意見を言うと、他の同僚が話しにくくなるかも」と考えて黙っているのは配慮です。同じ沈黙でも、動機が違うんですね。
遠慮と配慮をうまく使い分けよう
遠慮が悪くて配慮が良い、というわけではありません。時には自分を守るために遠慮することも必要です。
むしろ、自分がどちらの理由で行動しているのかを意識することが大事です。配慮しようとしているなら、徹底的に相手に寄り添わないと意味が無いですし、遠慮するなら用心深く自分を守りましょう。
たとえば、ビジネスディナーの場面。相手が「ここは私がご馳走します」と言ったとき、あなたが「相手に借りを作りたくない」と感じたら、それは自分を守るための遠慮です。
その際、「ありがとうございます。でも申し訳ありませんが、私は常に割り勘にしています。お気持ちだけありがたく頂戴します」と伝えることで、相手との関係を損なわずに自分の立場を守ることができます。
結論
遠慮と配慮は似た言葉ですが、その使い方を理解すると、ビジネスでのコミュニケーションがぐっとスムーズになります。
気が弱く、自分がいつも遠慮ばかりしているような気になっている人も、遠慮と配慮をしっかり使い分けることで、自信を持って行動できるようになるかもしれませんよ。
補足)
ちなみに、この記事を書くまでは「おもん『ば』かる」だと思い込んでいましたが、調べたところ「おもん『ぱ』かる」が正しいそうです。ただ、おもんばかるも間違いでは無いとのこと。