何となく会議でファシリテーションをする(というか、してしまう)ことが多いので、この本を読んでみました。
この本のポイントはいくつかあるのですが、以下がが頭に残りました。
意見を言わない
ファシリテーターは自分の意見を言ったり、判断したりはしません。
やむを得ず意見をいう時は、「議論メンバーとして発言します。」と前置きをする。
いろいろな切り口を見せて考えを引き出す
議論メンバーから新たな考えや、アイデアを引き出すために、答えではなく、メンバーへ様々な切り口を提示して、メンバーの自発的な思考を促す。
出てきた考えを整理する
メンバーから出てきたアイデアを整理したり、構造化したりして、わかりやすくし、更に考えを広げたり、深めたりできるようにする。
驚きです。
これって、コーチがクライアントにしていることと「全く」同じなんです。
コーチングにおいてコーチは、基本的に自分の考えやアイデアを話しません。かわりにクライアントに対してさまざまな切り口を提示して、質問し、答を引き出します。
クライアントから引き出した考えを整理し、クライアントにフィードバックして、新たな気付きが得られるようにします。
どうですか?同じでしょう?
さらにゴールを最初に明確にするところも同じです。
会議の冒頭でファシリテーターは以下のことを議論メンバーに提示します。例えば
- 目的:何のために – 10年後のリーダーを育てる
- お題:何を議論する – どのような教育をすればいいか?
- アウトプット:成果物 – 教育プログラム
です。
コーチングもこれら三つを明確にしますが、提示する方向は「逆」なんです。
コーチは提示しません。クライアントがすべて決めます。
- 目的:クライアントが目指すやりたいこととは何か?
- お題:それを目指すために必要なものは何か?
- アウトプット:それをどのように実現していくのか?
クライアントが順番に決めていくので、会議のように最初にいきなり3つを決めることはできません。上から順番にクライアントがコーチと話をしながら決めていく事になります。
一方、違いもあります。
コーチはクライアントの行動を後押しします。私は「伴走」という言葉を使います。
ファシリテーターは成果物の定義ができれば終わりですが、コーチはクライアントと一緒になって、アウトプットが実際に完成するまで伴走します。
ただファシリテーターは会議中の役割なので、伴走は役割の範囲外とも言えますね。
このように、コーチとファシリテーターはスキルセットが似ているので、平行して勉強しやすく、いいペアだと思いました。
ファシリテーションの考えでは、会議では判断をするリーダーはファシリテーションをしてはいけないことになっています。
でも、リーダーが自分より役職が上の人と行う会議ではファシリテーションをしてもいいはず。
そして、リーダーとして部下や後輩と接するときには、コーチのスキルの方を活用すればいいわけです。さらに話題のチームコーチングにも使えます。そうすると、さらにレベルの高い会議ができますね。
そう考えると、ビジネスパーソンがファシリテーションとコーチングを平行して学ぶのはメリットが多そうです。